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LC-MS/MS分析におけるTFAコンタミ対策|超短鎖PFAS測定の最適な試薬・溶媒・消耗品選定

20 Jun 2019

トリフルオロ酢酸(TFA)は、ペルおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の中で、最も短い鎖長C2を持つ酢酸のペルフルオロ類似体で、ペルフルオロC3化合物とともに超短鎖PFASと定義されます。C2およびC3 PFASは、雨、雪、河川、さらには海洋などの地球上の水生環境の至る所に存在し、高い移動性を持ちます。特にTFAは、飲料水と非飲料水の両方の水源に非常に高い濃度で存在する可能性があります。私たちは超短鎖PFAS分析用の希釈・直接注入LC-MS/MS法を開発している際に、HPLCグレードの水とメタノールにTFAが混入している可能性があることに気づきました。 超短鎖PFAS分析用のHILIC/イオン交換カラムを適用したところ、ブランク希釈液(LC/MSグレードの水:HPLCメタノール 50:50)注入時に検出可能なTFAピークが観察されました。さらに分析を進めた結果、LC/MSグレードの水には、LC-MS/MS分析に通常使用しているHPLCグレードのメタノールと比較して、比較的高い微量レベルのTFA(~5ppt)が含まれていることがわかりました。TFAを含まない試薬溶媒を探すため、さまざまな業者のさまざまな水とメタノールを検査しました。10pptの標準溶液(脱イオン(DI)水:EMSUREメタノール 50:50)を基準とすると、EMSUREメタノール(プラスチック容器付き)およびJT Bakerメタノールは、TFAが検出可能または有意に高いレベルの他のブランドと比較して、はるかにクリーンであることが示されました(Figure 1)。水試薬に関しては、Restekの施設で生成された逆浸透(RO)水とDI水は、LC/MSグレードの水よりもはるかにクリーンでした。

Figure 1.  水とメタノール試薬中のTFA
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TFAを含むPFAS分析を行おうとする場合は、使用している試薬溶媒の種類に注意すべきなのがお分かりでしょう。微量レベルのTFA検出のためには、サンプル前処理とLC分析の両方で、よりクリーンな溶媒を使用する必要があります。また、ガラス製のHPLCバイアルを使用すると、TFAのコンタミが発生することがあります。超短鎖PFASまたはTFAのLC-MS/MS分析には、微量レベルのコンタミを避けるためにポリプロピレン製バイアルを使用することをお勧めします。

貴社のラボではTFAを分析していますか?どのような試薬溶媒や実験器具を使用しているか、ぜひ経験をシェアしてください!

Author

  • Shun-Hsin Liang, PhD

    Shun-Hsin is a senior principal scientist in LC Solutions at Restek. He received his bachelor’s degree from the National Taiwan University in 1988 and obtained his PhD from Michigan State University in 1996. He performed postdoctoral research at the University of Michigan from 1996 to 2000 for oncology studies. In 2001, he was appointed as research faculty at The Pennsylvania State University and focused on molecular toxicology research. In 2006, he joined MPI Research Inc. as a senior research scientist and was a study director for GLP analytical projects. In 2013, Dr. Liang joined the LC Solutions department at Restek and specialized in developing application methods across the fields of environmental, food safety, and life sciences.

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