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スプリット注入における適切な注入量

08 Dec 2023

スプリット注入では、高温のインジェクタに必要以上の量を注入してしまうケースがよく見られます。

注入量が多すぎると、次のような問題が生じます。

  • 再現性の低下(ピーク面積のばらつき)
  • 注入システムの劣化・汚染
  • 「バックフラッシュ」の発生 → 後続のクロマトグラムにゴーストピークが長期間現れることがある

スプリット注入でバックフラッシュが起きる仕組みは次のとおりです。

  • 気化した際に体積が膨張しすぎた蒸気がセプタムパージライン(装置によってはスプリットライン)へ逆流し、フィルター内で蓄積する
  • このフィルターは、メンテナンスの際に定期的に交換する必要がある
  • 蓄積した成分は、インジェクタの種類・流量・スプリット条件に応じて少しずつ脱離する
  • 脱離した成分はインジェクタを経てカラムへ運ばれ、クロマトグラム上にゴーストピークとして現れる

なお、スプリットレス注入はスプリットベントを閉じた状態で気化を行うため蒸気の逃げ場が少なく、注入量が過剰になるとスプリット注入よりもバックフラッシュが起きやすくなります。

スプリット注入における適切な注入量の決め方

適切な注入量を決めるうえで最も重要なのは、サンプルが注入口で急激に蒸発した際の気化量(サンプルの膨張体積)です。この気化量がライナーの内容積を超えると、ガスがライナーからあふれ出してしまいます。そのため、ライナーには、気化によって生じるガスの体積を余裕をもって収容できるだけの大きさが必要です。

スプリット注入における最大注入量は、主に次の3点によって決まります。

1. ライナーの内容積

ライナーにくびれ(テーパーを含む絞り構造)や充填物(ガラスウールなど)があると、その分、気化したガスを収容できる容積が小さくなります。さらに、ライナーの中はもともとキャリヤーガスで満たされているため、気化したガスを実際に収容できる容積は、ライナーの内容積の表示よりもさらに小さくなる、という点も踏まえておく必要があります。

2. 使用する溶媒

溶媒が異なれば、気化量も大きく変わります。目安としては、溶媒の極性が高いほど気化量は大きくなり、なかでも水の気化量が最も大きくなります。

3. インジェクタ温度とキャリヤーガス圧

インジェクタ温度が高いほど、またキャリヤーガス圧が低いほど、気化量は大きくなります。つまり、同じ溶媒・同じ注入量でも、装置の設定次第で「ライナーに収まるかどうか」が変わってくるということです。

以下は、1 µLの各種溶媒を250°Cで蒸発させた場合の気化量(µL)を、カラムヘッド圧力別に示した例です。

各カラムヘッド圧力における気化量(µL)
溶媒 密度
(g/mL)
分子量
(MW)
5 psig 10 psig 15 psig
ヘプタン0.68100219174145
ヘキサン0.6686245224186
トルエン0.8792303242201
酢酸エチル0.9088328261217
クロロホルム1.49119400319266
塩化メチレン1.3385500399332
メタノール0.7932792629525
1.0018177614181179

この表からも分かるとおり、同じ1 µLの注入でも、溶媒と圧力の組み合わせによって気化量は10倍以上変わります。つまり「何µL注入してよいか」は、溶媒・温度・圧力・ライナー容量の組み合わせごとに個別に計算しないと、正確には決まりません。

なお、圧力パルス注入を使えば、気化した試料の体積を小さく抑えることもできます。注入直後にキャリヤーガス圧を一時的に高めることで、溶媒の膨張体積が小さくなるとともに、気化した試料を速やかにカラムへ送り込むことができるため、ライナーからのバックフラッシュを抑制できます。

実際に注入量を決めるには

上記の計算を毎回手作業で行うのは現実的ではありません。

GNBL4814-JA

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