- 高い不活性度で正確な校正と信頼性の高いサンプル分析を実現
- クリティカルペアの優れた分離で分析精度を向上
- カラム間で一貫した性能を発揮
- 長寿命カラムで作業効率アップ
SelectScience Scientists’ Choice賞の「年間最優秀新規分離製品」を受賞!
環境分析における半揮発性有機化合物(SVOC)の分析は、精度と信頼性が求められ、非常に難易度が高い課題として知られています。特に、分析対象となる化合物が酸性、塩基性、中性などさまざまな特性を持つ場合、再現性のある安定した分析を行うことがさらに難しくなります。そこでRestekは、長期間安定した分析を可能とする、SVOC分析のための専用カラムRxi-SVOCmsを開発しました。このSVOC分析専用カラムは長期間にわたって正確な校正を維持できるため、装置の再校正やカラム交換の頻度を抑えつつ、より多くのサンプルを分析することが可能です。また、新規ポリマーと不活性化技術を採用することで、非常に高い不活性度を誇ります。これに加え、SVOC分析カラムとして最適な分離を提供するために、厳密にその選択性を制御しています。結果として、さまざまな特性を持つ幅広い成分を高い精度で分離することを実現しました。
Rxi-SVOCmsカラムは、その優れた性能によってSVOCの分析を大幅に改善します。特にペンタクロロフェノールやピリジン、ベンジジンなど、通常ではピーク形状が不安定になりやすい反応性の高い化合物に対しても、対称的なピークを形成し、高いレスポンスを実現します(Figure 1参照)。さらに、多環芳香族炭化水素(PAH)の分離も最適化します。クロマトグラフィーによる分離が必須となる同重体PAHであるベンゾ[b]フルオランテンとベンゾ[k]フルオランテンについては、優れた分離度(バレー比85%以上)が得られており、インデノ[1,2,3-cd]ピレンとジベンゾ[a,h]アントラセンについても同様の結果が得られます。
環境産業で分析を担当する化学者にとって、カラムの性能が安定しないことや頻繁な校正失敗、カラム寿命の短さは大きな悩みの種です。しかし、Rxi-SVOCmsカラムに切り替えることで、これらの課題を解決できます。新しいカラムは堅牢で、長期間にわたって安定したデータ品質を維持し、装置のダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。
安定した校正が実現するサンプルスループット向上
GC分析を進める上で、安定した校正とデータ品質が求められますが、特にレスポンスファクターのばらつきや不安定なピーク形状は、生産性を低下させる大きな要因となります。再校正やメンテナンスにかかる時間は、サンプル分析の停止を引き起こし、作業効率に大きな影響を与えるからです。Rxi-SVOCmsカラムは、その高い不活性度と優れた性能により、校正の精度を大幅に改善します。6本のカラムで行った初期校正において、得られたレスポンスファクターの相対標準偏差(%RSD)の平均はすべての化合物ならびに6本のカラム全体でわずか6%という結果となりました(Table I)。この低い%RSDはカラム間での一貫性を示しています。このカラムにより校正の持続性が向上し、再校正の頻度を抑えながら、より多くのサンプルを分析することが可能になります。また、ピリジンやペンタクロロフェノールはピーク形状がテーリングしやすく、特に、カラムの不活性度が高くない場合、これらの化合物のピークは不安定で再現性に欠けることが多いです。しかし、Figure 2に示されるように、Rxi-SVOCmsカラムを使用すれば、異なる濃度で一貫したピーク形状と保持時間が実現され、信頼性の高い分析が可能となります。
Table I: 安定した校正により、再校正の頻度が抑えられサンプル分析時間が増加するので、生産性が向上します。緑は初期校正に合格したことを示します(n = 6カラム)。
| 化合物 | 校正範囲 (µg/mL) | レスポンスファクターの平均標準偏差(%RSD) |
|---|---|---|
| N-Nitrosodimethylamine | 1 – 120 | 4.70% |
| Pyridine | 1 – 120 | 6.10% |
| (SS) 2-Fluorophenol | 1 – 120 | 1.70% |
| (SS) Phenol-d6 | 1 – 120 | 2.10% |
| Phenol | 1 – 120 | 3.20% |
| Aniline | 1 – 120 | 3.10% |
| Bis(2-chloroethyl)ether | 1 – 120 | 2.40% |
| 2-chlorophenol | 1 – 120 | 2.80% |
| 1,3-dichlorobenzene | 1 – 120 | 2.60% |
| 1,4-Dichlorobenzene | 1 – 120 | 2.10% |
| Benzyl alcohol | 1 – 120 | 3.30% |
| 1,2-Dichlorobenzene | 1 – 120 | 2.70% |
| 2-Methylphenol | 1 – 120 | 3.30% |
| Bis(2-chloroisopropyl)ether | 1 – 120 | 2.40% |
| 4-Methylphenol/3-methylphenol | 1 – 120 | 3.30% |
| N-nitroso-di-n-propylamine | 1 – 120 | 3.80% |
| Hexachloroethane | 1 – 120 | 3.00% |
| (SS) Nitrobenzene-D5 | 1 – 120 | 1.60% |
| Nitrobenzene | 1 – 120 | 2.60% |
| Isophorone | 1 – 120 | 3.40% |
| 2-Nitrophenol | 1 – 120 | 7.00% |
| 2,4-Dimethylphenol | 1 – 120 | 3.70% |
| Benzoic acid | 2.5 – 120 | 25.00% |
| Bis(2-chloroethoxy)methane | 1 – 120 | 3.60% |
| 2,4-Dichlorophenol | 1 – 120 | 4.10% |
| 1,2,4-Trichlorobenzene | 1 – 120 | 2.80% |
| Naphthalene | 1 – 120 | 3.20% |
| 4-Chloroaniline | 1 – 120 | 3.90% |
| Hexachlorobutadiene | 1 – 120 | 3.70% |
| 4-Chloro-3-methylphenol | 1 – 120 | 4.40% |
| 2-Methylnaphthalene | 1 – 120 | 3.40% |
| 1-Methylnaphthalene | 1 – 120 | 3.60% |
| Hexachlorocyclopentadiene | 1 – 120 | 6.90% |
| 2,4,6-Trichlorophenol | 1 – 120 | 5.90% |
| 2,4,5-Trichlorophenol | 1 – 120 | 6.20% |
| (SS) 2-Fluorobiphenyl | 1 – 120 | 1.10% |
| 2-Chloronaphthalene | 1 – 120 | 2.80% |
| 2-Nitroaniline | 1 – 120 | 7.80% |
| 1,4-Dinitrobenzene | 1 – 120 | 11.10% |
| Dimethyl phthalate | 1 – 120 | 3.40% |
| 1,3-Dinitrobenzene | 1 – 120 | 10.80% |
| 2,6-Dinitrotoluene | 1 – 120 | 7.80% |
| Acenaphthylene | 1 – 120 | 4.10% |
| 1,2-Dinitrobenzene | 1 – 120 | 8.10% |
| 3-Nitroaniline | 1 – 120 | 5.80% |
| Acenaphthene | 1 – 120 | 3.30% |
| 2,4-Dinitrophenol | 2.5 – 120 | 17.30% |
| 4-Nitrophenol | 1 – 120 | 7.90% |
| Dibenzofuran | 1 – 120 | 3.50% |
| 2,4-Dinitrotoluene | 1 – 120 | 11.60% |
| 2,3,5,6-Tetrachlorophenol | 1 – 120 | 10.40% |
| 2,3,4,6-Tetrachlorophenol | 1 – 120 | 7.30% |
| Diethyl phthalate | 1 – 120 | 4.50% |
| 4-Chlorophenyl phenyl ether | 1 – 120 | 3.60% |
| Fluorene | 1 – 120 | 4.40% |
| 4-Nitroaniline | 1 – 120 | 9.10% |
| 4,6-Dinitro-2-methylphenol | 2.5 – 120 | 15.10% |
| N-nitrosodiphenylamine | 1 – 120 | 4.60% |
| Diphenylhydrazine | 1 – 120 | 4.60% |
| (SS) 2,4,6-Tribromophenol | 1 – 120 | 5.50% |
| 4-Bromophenyl phenyl ether | 1 – 120 | 5.50% |
| Hexachlorobenzene | 1 – 120 | 4.30% |
| Pentachlorophenol | 1 – 120 | 10.60% |
| Phenanthrene | 1 – 120 | 3.70% |
| Anthracene | 1 – 120 | 4.80% |
| Carbazole | 1 – 120 | 5.30% |
| di-n-Butyl phthalate | 1 – 120 | 7.90% |
| Fluoranthene | 1 – 120 | 5.10% |
| Benzidine | 1 – 120 | 9.30% |
| (SS) Pyrene-D10 | 1 – 120 | 1.50% |
| Pyrene | 1 – 120 | 4.30% |
| (SS) p-Terphenyl-d14 | 1 – 120 | 1.80% |
| 3,3′-Dimethylbenzidine | 1 – 120 | 9.50% |
| Butyl benzyl phthalate | 1 – 120 | 8.60% |
| Bis(2-ethylhexyl)adipate | 1 – 120 | 10.50% |
| 3,3′-Dichlorobenzidine | 1 – 120 | 8.50% |
| Benz[a]anthracene | 1 – 120 | 3.20% |
| Chrysene | 1 – 120 | 3.70% |
| Bis(2-ethylhexyl)phthalate | 1 – 120 | 10.40% |
| Di-n-octyl phthalate | 1 – 120 | 13.20% |
| Benzo[b]fluoranthene | 1 – 120 | 5.60% |
| Benzo[k]fluoranthene | 1 – 120 | 4.90% |
| Benzo[a]pyrene | 1 – 120 | 6.30% |
| Indeno[123-cd]pyrene | 1 – 120 | 7.20% |
| Dibenz[a,h]anthracene | 1 – 120 | 7.50% |
| Benzo[ghi]perylene | 1 – 120 | 6.40% |
| %RSDの平均 | 6.00% |
堅牢で長寿命のRxi-SVOCmsカラムで簡単に校正性能を回復
環境分析の現場では、さまざまな化学物質が含まれたサンプルが頻繁に取り扱われ、その成分の複雑さはカラムに負担をかける原因となります。特に、化学物質がカラムに蓄積することが懸念されますが、それが必ずしもカラムの劣化に直結するわけではありません。Rxi-SVOCmsカラムの内部構造や固定相は、改良されており、非常に過酷な条件下でも性能を保つことができます。Figure 3に示されるように、汚れたサンプルを繰り返し注入しながらカラムの校正性能をモニタリングした結果、30サンプル注入ごとに汚染された箇所をトリミングすることで、300回の注入後でも校正性能が回復することが確認されました。300回の注入後におけるキャリブレーションチェックで、不合格となる化合物はわずか10%未満でした。これは、カラムの耐久性と安定性を証明するものであり、定期的なメンテナンスが非常に簡単であることを意味します。簡単なトリミングとキャリブレーションチェックだけで、カラムは再び元の性能を発揮し、ダウンタイムを大幅に削減し、カラム交換の頻度も低く抑えることができます。その結果、より多くのサンプルを分析することが可能となり、全体的な作業効率が向上します。
300サンプルの耐久性試験 実験デザイン
ディーゼル微粒子抽出物(NIST SRM 1975)を1日30回注入しました。また、サンプルを10回注入するごとに継続校正検証(CCV)用標準溶液を注入しました。3回目のCCV用標準溶液注入後、カラムをトリミングし、ライナー、セプタム、注入口シールを交換しました。このシーケンスを10日間繰り返した後、2本目のカラムを使って実験全体を繰り返しました。
- 青い線は、すべてのCCV用標準溶液注入を示しており、まず性能が低下し(これはサンプルマトリックスからのコンタミネーションにより予想された通りです)、その後メンテナンスにより完全に回復したことを示しています。
- 緑の線は、メンテナンス後のCCV用標準溶液注入のみをプロットしたもので、校正性能の安定性を示しています。

すべてのRxi-SVOCmsカラムが安定した性能を発揮
RestekのRxi-SVOCmsカラムは、独自に開発された化学的特性を持つポリマーを用いて製造され、その過程においては最も厳格な品質管理とテストが実施されています。この徹底的な製造管理により、すべてのRxi-SVOCmsカラムは極めて安定した性能を発揮し、常に一定の分析結果を提供することができます。例えば、2,4-ジニトロフェノールのような高い活性度を持ち、しばしば分析の際に問題を引き起こす化合物に対しても、安定した保持時間を維持することができ、測定結果のばらつきが最小限に抑えられます。Rxi-SVOCmsカラムのもう一つの顕著な特徴は、極めて低いブリードプロファイルです。Rxi-SVOCmsカラムはその設計により、ブリードが非常に少ないため、干渉を最小限に抑え、クリーンで正確な分析を実現します。Figure 4に示されたように、これらの特徴が相乗効果を生み、非常に高い精度で分析を行うことが可能となります。
環境多環芳香族炭化水素化合物を確実に分離
多環芳香族炭化水素(PAH)は、特に半揮発性有機化合物(SVOC)の分析において、分離が最も難しい化合物の一つです。これらの化合物は非常に似た化学的特性を持っており、微量レベルで正確な分析結果を得るためには、隣接して溶出する化合物を確実に分離できる高い選択性と効率を備えたカラムが不可欠です。Figure 5に示されているように、このカラムはベンゾ[b]フルオランテンとベンゾ[k]フルオランテンといった、クロマトグラム上で分離しなければならない化合物を含む23の優先汚染物質の分離を最適化しています。





