- Florisilとカーボンを組み合わせた積層固相カートリッジで、Florisil単独では除去しきれない共抽出マトリックス成分をより効果的に除去
- 抽出液がよりクリーンなため、GC装置のダウンタイムが短縮され、サンプルスループットが10倍以上向上
複雑な土壌や水サンプル中の有機塩素系農薬を分析する際に、共抽出されたマトリックス成分がGCの注入口やカラムを汚染してしまうことがあります。その結果、時間のかかる予定外のメンテナンスが必要となり、装置のダウンタイムが発生してしまいます。効果的なサンプルクリーンアップによる抽出液の品質向上が、装置の安定的な動作と、正確かつ信頼性の高いデータ取得には不可欠です。
EPA Method 3620など、一般的なクリーンアップ方法として広く使われているのは、Florisil単独のカートリッジを用いたパススルーSPE(固相抽出)です。一方、Resprep FL + CarboPrep Plus SPEカートリッジ(Resprep FL + CPP)は、Florisilとカーボンを一つに組み合わせた積層カートリッジで、はるかに効果的なクリーンアップが実現されます。その結果、GCカラムの耐用期間が延び、装置の稼働率が向上することで、サンプル処理能力とラボ全体の生産性が飛躍的に高まります。
Resprep FL + CarboPrep Plus SPEカートリッジに使われているFlorisilには、特別な水分管理処理が施されています。これは充填剤を完全に活性化し、高極性な汚染物質を効果的に除去することを目的としています。Florisilは高極性化合物を捕捉するには最適な充填剤です。しかし、GC注入口を汚染し、装置メンテナンスの原因となる高分子量の汚染物質の除去には適していません。
この問題に対応できるのがCarboPrep Plus充填剤です。この充填剤は、特に厄介な共抽出マトリックス成分を効果的に除去することができます。たとえば、サンプル中のフミン酸が抽出液に残存している場合、DDTなどの分解を引き起こしやすくなり、注入口での分解率が15%未満に抑えられない、あるいは継続的なキャリブレーションチェックが基準を満たせなくなることがあります。Resprep FL + CarboPrep Plus SPEカートリッジに使われている高品質カーボンは、こうした酸性成分を効果的に除去できるため、Florisil単独で処理した場合と比較して、性能要件をより長期間維持し、注入可能なサンプル数も大幅に増加します。さらに、見た目にも抽出液がクリーンになるという利点もあります(Figure 1参照)。

実験デザイン:DDT(100ppb)の分解率を、フロリジルSPEまたはResprep FL+CarboPrep Plus SPEでクリーンアップした土壌サンプル抽出液について、10回ごとに測定
よりクリーンな抽出液を求めるなら、Resprep FL+ CarboPrep Plus SPEカートリッジ一択!
次に、Resprep FL + CarboPrep Plus SPEカートリッジを使用して、共抽出サンプルのマトリックス汚染物質を除去する手順について説明します。その手順は、従来のFlorisilによるクリーンアップで実施する手順と同じです。ただし、Figure 2でその違いを確認して下さい。サンプルカートリッジの平衡化、抽出液ロード、ターゲット化合物の溶出(溶出溶媒は、ヘキサン:アセトン(90:10)を使用)という、同じ手順、溶媒、溶媒量なのにもかかわらず、Resprep FL + CarboPrep Plus SPEカートリッジを使用して得られた抽出液は、よりクリーンです。この抽出液によってクロマトグラフィーの結果も大幅に向上します。Resprep FL + CarboPrep Plus SPEカートリッジは、Florisilによるクリーンアップと同じ手順と条件でそのまま使える代替品であることにとどまらず、多くのサンプルで高い除去効果を示すため、ワークフローのさらなる簡素化にも貢献します。汚染度の高いサンプルには、Resprep FL + CarboPrep Plus SPEカートリッジだけで対応可能です!

データ品質と結果精度の向上
Resprep FL + CarboPrep Plus SPEカートリッジが実現するのは、ダウンタイム短縮、サンプルスループット向上、ワークフロー簡素化だけではありません。分析精度の向上にも大きく貢献するため、信頼性の高い、正確な結果の報告が可能です。共抽出マトリックス成分を強力かつ効果的に除去することで、サンプル由来の干渉を抑え、定量結果の精度を低下させません。Table Iに示す通り、ラボコントロールサンプルのすべての化合物で、回収率は80~110%の許容範囲に収まりました。さらに、Florisilによるトリクロロフェノール(TCP)のブレークスルーも観察されませんでした。ウルトラクリーンな充填剤と厳密に管理された製造・品質手順により、常にバックグラウンドが低い状態、ロット間の一貫した性能が維持されています(Figure 3参照)。
Table I: Resprep FL + CarboPrep Plus SPEカートリッジによる高効率なクリーンアップで正確かつ信頼性の高い分析結果が得られます(n=8)。
| 化合物 | 濃度 (ng/mL) | 平均回収率 (%) | %RSD |
|---|---|---|---|
| TCP | 100 | < 1* | – |
| TCMX | 20 | 98 | 1.8 |
| Hexachlorobenzene | 5 | 89 | 1.3 |
| alpha-BHC | 5 | 100 | 1.4 |
| gamma-BHC | 5 | 99 | 1.3 |
| beta-BHC | 5 | 102 | 3.6 |
| delta-BHC | 5 | 103 | 4.6 |
| Heptachlor | 5 | 91 | 4.1 |
| Aldrin | 5 | 98 | 1.8 |
| Heptachlor epoxide | 5 | 103 | 1.1 |
| gamma-Chlordane | 5 | 105 | 3.4 |
| alpha-Chlordane | 5 | 96 | 2.0 |
| 4,4′-DDE | 10 | 99 | 1.6 |
| Endosulfan I | 5 | 101 | 2.3 |
| Dieldrin | 10 | 98 | 2.6 |
| Endrin | 10 | 97 | 5.1 |
| 4,4′-DDD | 10 | 97 | 2.9 |
| Endosulfan II | 10 | 99 | 3.9 |
| 4,4′-DDT | 10 | 97 | 2.2 |
| Endrin aldehyde | 10 | 92 | 4.6 |
| Methoxychlor | 50 | 95 | 4.1 |
| Endosulfan sulfate | 10 | 100 | 2.1 |
| Endrin ketone | 10 | 98 | 1.3 |
| DCB | 20 | 101 | 2.4 |
*ブレークスルー5%未満という要件をクリア


