カラム製造において不活性さを保つことは最も達成困難な特性の一つですが、ピーク形状と保持時間の安定性の両方を通して検出に影響を与えるため、最も重要な特性の一つでもあります。Rxiテクノロジーは最も不活性なカラムを提供し、以下の利点をもたらします:
SN比の向上
カラムが不活性であることはピーク形状を改善し、シグナルの高さ、つまり分析感度を大きく左右します。キャピラリーが十分に不活性化されていないと、ピークが非対称になり、シグナルが低下します(図1を参照ください)。Rxiカラムは非常に不活性であるため、広範囲の分析対象化学物質に対して対称的なピーク形状と高いレスポンスを保証します。

安定した保持時間
SN比に影響を与えるだけでなく、カラムの不活性度は保持時間の安定性にも影響を与えます。これは正しいピーク同定にとって重要な要素です。カラムの活性点が増えるとピークのテーリングが増え、保持時間がシフトするため、不活性であることは非常に重要です(図2を参照ください)。実際の例を図3に示します。Rxiカラムテクノロジーと他社製類似カラムを、テストプローブとしてピリジンを用いて比較しています。ピリジンのピーク形状と保持はRxiカラムの方が標準市販カラムよりも有意に良好であり、ピリジンは本来溶出すべき場所に溶出し、表面活性によって保持されることはありません。

GC_EX01116

低い不活性度に伴うもう一つの問題は、保持時間が注入された分析物の量の関数になることです。サンプル中の標的化合物の正確な濃度がわからないため、サンプルによってはピークが保持時間の枠外に現れることがあり、エラーだとレポートする原因になったり、追加分析が必要になったりします。図4Aは、一般的な市販カラムに異なる量のピリジンを注入した場合の結果を示しています。絶対量が減少するにつれて、ピリジンの保持は増加します。一方、図4Bは同じ注入をRxi-5msカラムで行ったものです。Rxiカラムの不活性度が高いため、ピリジンのピークは注入量に関係なく同じ保持時間で溶出します。

| GC_EX01118 | GC_EX01119 |
extracted ion chromatogram, m/z 79
極性化合物、酸性化合物、塩基性化合物に対するレスポンスの向上
Rxiカラムが不活性であることは、SN比の向上と安定した保持時間に加え、幅広い化合物に対するレスポンスを向上させます。Rxiカラムは酸性化合物、塩基性化合物、極性化合物に対する不活性度を高めるように設計されています。不活性度を実証するために、Rxi-5Sil MSカラムでピリジン(塩基性)と2,4-ジニトロフェノール(酸性)を2ng注入したときの応答係数をAgilent DB-5ms、VarianVF-5ms、Phenomenex ZB-5msカラムと比較しました。両プローブに関して、Rxiカラムは他のカラムを凌駕し、両化合物の応答係数が高いことによって不活性度が高いことが実証されました(表I)。Rxiカラムが卓越して中性であることにより、幅広い種類の成分を1本のカラムで分析できます(図5)。
表 I:Rxi-5Sil MSカラムは2,4-ジニトロフェノールとピリジンに対して他社カラムよりも高い応答係数を示しました。
| 2,4-dinitrophenol (average RF) | pyridine (average RF) | |
|---|---|---|
| Rxi-Sil MS | 0.24 | 0.74 |
| メーカー A | 0.20 | 0.63 |
| メーカー B | 0.22 | 0.64 |
| メーカー C | 0.24 | 0.65 |
| 応答係数はフェナントレン(n=7)をベースにしています。 | ||

GC_EV01129
Peaks
| Peaks | |
|---|---|
| 1. | 1,4-Dioxane |
| 2. | N-Nitrosodimethylamine |
| 3. | Pyridine |
| 4. | 2-Fluorophenol (SS) |
| 5. | Phenol-d6 (SS) |
| 6. | Phenol |
| 7. | Aniline |
| 8. | Bis(2-chloroethyl) ether |
| 9. | 2-Chlorophenol |
| 10. | 1,3-Dichlorobenzene |
| 11. | 1,4-dichlorobenzene-d4 (IS) |
| 12. | 1,4-Dichlorobenzene |
| 13. | Benzyl alcohol |
| 14. | 1,2-Dichlorobenzene |
| 15. | 2-Methylphenol |
| 16. | Bis(2-chloroisopropyl) ether |
| 17. | 4-Methylphenol/3-Methylphenol |
| 18. | N-Nitrosodi-N-propylamine |
| 19. | Hexachloroethane |
| 20. | Nitrobenzene-d5 (SS) |
| 21. | Nitrobenzene |
| 22. | Isophorone |
| 23. | 2-Nitrophenol |
| 24. | 2,4-Dimethylphenol |
| 25. | Benzoic acid |
| 26. | Bis(2-chloroethoxy)methane |
| 27. | 2,4-Dichlorophenol |
| 28. | 1,2,4-Trichlorobenzene |
| 29. | Naphthalene-d8 (SS) |
| 30. | Naphthalene |
| 31. | 4-Chloroaniline |
Conditions
| Column | Rxi-5Sil MS, 30 m, 0.25 mm ID, 0.25 µm (cat.# 13623) |
|---|---|
| Standard/Sample | |
| 8270 MegaMix (cat.# 31850) | |
| Benzoic acid (cat.# 31879) | |
| 8270 Benzidines Mix (cat.# 31852) | |
| Acid Surrogate Mix (4/89 SOW) (cat.# 31025) | |
| Revised B/N Surrogate Mix (cat.# 31887) | |
| 1,4-dioxane (cat.# 31853) | |
| SV Internal Standard Mix (cat.# 31206) | |
| Diluent: | methylene chloride |
| Conc.: | 10 ng on-column |
| Injection | |
| Inj. Vol.: | 1.0 µL pulsed splitless (hold 0.25 min) |
| Liner: | Single Taper Splitless (4mm) w/Application-Specific Wool (cat.# 20799) |
| Inj. Temp.: | 250 °C |
| Pulse Pressure: | 25 psi (172.4kPa) |
| Pulse Time: | 0.3 min |
| Purge Flow: | 60 mL/min |
| Oven | |
| Oven Temp.: | 40 °C (hold 1 min) to 280 °C at 25 °C/min to 320 °C at 5 °C/min (hold 1 min) |
| Carrier Gas | He, constant flow |
| Flow Rate: | 1.2 mL/min |
| Detector | MS |
|---|---|
| Mode: | Scan |
| Transfer Line Temp.: | 280 °C |
| Analyzer Type: | Quadrupole |
| Source Temp.: | 250 °C |
| Tune Type: | DFTPP |
| Ionization Mode: | EI |
| Scan Range: | 35-550 amu |
| Instrument | Agilent 7890A GC & 5975C MSD |
Rxiテクノロジーの開発の中心には厳密な不活性度テストがありました。
評価は、もともとはLautamoらによって報告されたLautamo/Jenningsテストミックス(プローブの挑戦的なリストを含む)(参照文献[1])に基づいて行われました。Rxiカラムの評価にあたり、RestekはLautamo/Jenningsテストミックスを拡張し、表IIに示す酸性および塩基性活性のプローブを追加しました。
表II:元のLautamo/Jenningsテストミックスをベースに拡張した化合物リストにより、厳密な不活性度テストが可能になりました。
| 成分 | オンカラム ng | カラム機能テスト |
|---|---|---|
| Propionic acid | 11.5 | 塩基性 |
| 1-Octene | 3.9 | 極性 |
| Octane | 3.9 | 炭化水素マーカー |
| Nitrobutane | 7.7 | 酸性 |
| 4-Picoline | 7.7 | 酸性 |
| Trimethyl phosphate | 38.5 | 酸性 |
| 1,2-Pentanediol | 11.5 | シラノール |
| n-Propylbenzene | 7.7 | 炭化水素マーカー |
| 1-Heptanol | 7.7 | シラノール |
| 3-Octanone | 7.7 | 極性 |
| Decane | 7.7 | 炭化水素マーカー |
図6に示すように、Rxi-5Sil MSカラムはすべての化合物で優れたピーク形状を示し、高度な不活性度を示しています。対照的に、この混合物を最も不活性であると主張する別のメーカーのカラムで分析すると、いくつかの重要な指標化合物の結果が非常に悪くなります(図7)。このテストミックスは、標準的な市販カラムがRxiカラムほど不活性ではなく、同レベルの性能を発揮できないことを明確に示しています。

- propionic acid
- 1-octene
- octane
- nitrobutane
- 4-picoline
- trimethylphosphate
- 1,2-pentanediol
- N-propylbenzene
- 1-heptanol
- 3-octanone
- decane

- propionic acid
- 1-octene
- octane
- nitrobutane
- 4-picoline
- trimethylphosphate
- 1,2-pentanediol
- N-propylbenzene
- 1-heptanol
- 3-octanone
- decane
カラムの選別に誇りを持ち、これらのカラムを厳選された「不活性」シリーズとして販売する業者もあります。Restekでは、すべてのカラムが管理された条件下で製造および試験され、当社の厳しい仕様を満たすことが要求されるため、カラムの選別は行いません。これは、Rxiカラムが、他のフューズドシリカカラムよりも正確で信頼性の高い微量レベルの結果を提供することを意味します。
References
- R. Lautamo, M. Hastings, E. Kuhn, W. Jennings, Plenary Lecture, 27th International Symposium on Capillary Chromatography, Riva Del Garda, Italy, June 2004.

