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Pro EZGC Chromatogram Modelerの有効活用【第5回】4.モデル改良方法 Part 2

06 Jun 2018

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Pro EZGC Chromatogram Modelerの有効活用

RestekのPro EZGC Chromatogram Modeler(クロマトグラムシミュレーターとしても知られています)は、ポリマーキャピラリーカラム用に設計されています。操作がシンプルでありながら、高度なオプションも備えているため、GCメソッド開発の大きな助けとなります。

Pro EZGC Chromatogram Modeler操作方法解説動画

トランスクリプト

Gas Flow Parameterの上に、カラム情報が表示されています。仮に、実際ラボにあるRtx-1カラムのサイズが、カラム長30メートル、内径32ミリメートル、膜厚5ミクロンではない場合、結果はどうなるでしょう?異なるサイズのカラムでも、同様の分離が可能でしょうか?実際、パラメータの一部がロックされていても、カラムサイズやキャリヤーガスは変更可能です。例えば、ラボにカラム長30メートル、内径0.25ミリメートル、膜厚5ミクロンのカラムがあるとします。MSユーザーとしては、この膜厚は揮発性化合物にはやや薄いので、わざわざMSに接続して試すべきか迷うかもしれません。Modeler上でなら、何のリスクもなしに試すことが可能です。やってみましょう!

まず、ドロップダウンリストからカラムサイズを選択します。30、0.25、5を探します。あ、ここにありました!知っておいて頂きたいのは、ここにリストアップされているカラムサイズのRtx-1は、すべて標準品として購入可能である、ということです。このカラムサイズのモデルを見てみましょう。実際、膜厚が薄いRtx-1のモデルでも、思いのほか良好な分離が得られました。これがPro EZGC Chromatogram Modelerの強みであり、無料かつ迅速に仮説検証が可能な解決策である理由です。

ここで試したケースでは、分析時間の大幅な短縮だけでなく、すべてのクリティカルペア間での十分な分離が得られました。その上、新しいカラムを購入する必要もありません。これだけではありません。カラムサイズを変更すると、カラム内径0.25ミリメートルの場合に最適な効率となるよう、カラム流量は自動的に設定されます。ただし、昇温プログラムは自動的に更新されません。「Refine Oven Program(オーブンプログラムの調整)」ボタンを使って最適化を進めてみましょう。どうでしょうか。調整が複数回行われたのがお分かりでしょう。何回かオーブンプログラムの最適化を行って、分析時間を4分以下に短縮することができました。

モデルを見てみましょう。とても良さそうですね。最初の3つのピークは依然として良好に分離されているため、スプリットレス注入や、ピークの広がりの影響を受けることの多い他の注入法でも、ピーク分離の維持が十分に期待できます。他の箇所も見ていきましょう。ピーク4、5、6です。ピーク4のイオンをポップアップ画面で見てみます。主要なイオンは61、96、98、100であることが分かります。懸念されるのは、もしピークの広がりが大きくなったら、ピーク4がピーク5やピーク6に重なったり、テーリングしたりするのでは?ということです。ピーク5とピーク6のイオンも同様に確認してみましょう。これはピーク6のイオンですが、この上にピーク5を重ねて表示してみます。ピーク5とピーク6の主要なイオンは、43、57、83、85であることが分かります。つまり、ピークの広がりがピーク4まで大きくなり、ピーク5やピーク6に重なってしまった場合でも、必要であれば、各ピークごとに特徴的なイオンを選び出すことは可能だということです。オーブン昇温レートは、現在毎分30度まで引き上げています。これはソフトウェアが最適化できる最大値です。実際、ほとんどのGC装置は毎分30度の昇温レートでも、約300度まで安定して動作させることが可能です。つまり、装置の許容範囲内にしっかり収まっているので、すべて問題なく進んでいると言えるでしょう。このクロマトグラムは非常に良好なので保存したいと思います。既にオリジナルの名前があるので、別名を付けて保存します。そうしておけば、オリジナルとの比較も可能です。方法は、「Save a Copy(名前を付けて保存)」を押して、名前を変えるだけです。新しい名前は、Really Fast Volatilesを追加するのでどうでしょうか。良さそうなので、新しい名前でOKを押します。その後、「Save(保存)」ボタンを押します。

インターフェイス表示領域の一番右、「My EZGC」タブには、これまでに保存したすべてのクロマトグラムが表示されているので、比較するのが簡単です。Really Fast Volatilesとless-fast volatileとを比較すれば、分析時間が大幅に短縮されていながらも、分離は維持されていることが一目でわかります。数分でできた仕事としては、かなり良いものだと言えるのではないでしょうか。Pro EZGC Chromatogram Modelerを使用すれば、ラボで長期間放置されていたカラムでも、堅牢で迅速な揮発性化合物の分析メソッド開発が可能でした。さらに素晴らしいのは、この開発が、わずか数分で、GC装置に触れず、標準試料を調製せずにできたことです。

ここまでの動画を振り返ります。最初に、化合物リストの入力方法について説明しました。カラム購入も検討可能で最適な方法を求めているなら、「Search by Name(化合物で検索)」の使用をお勧めします。現在ラボにあるカラムでのメソッド開発を計画しているなら、「Search by Phase(固定相で検索)」の使用をお勧めします。

インターフェースについても詳しく説明しました。モデル表示領域の情報は、時間節約に非常に有用です。MSメソッド開発の効率化に際し、これ以上の働きをするものは他にないと言えるでしょう。「Condition(分析条件)」タブに関する説明には多くの時間を使いました。重要なポイントは2つです。ソフトウェアが自動で最適化するのは昇温プログラムのみで、他のパラメータについては、自由に変更が可能です。この変更に準じて、ソフトウェアが昇温プログラムを最適化してくれます。つまり、このソフトウェアでは線速度と昇温プログラムが連動していない、ということです。そのため、線速度が変わるのはいつでも、キャリヤーガスと、カラムサイズと、流量とが変更されたときです。昇温プログラムもそれに沿って最適化されます。ソフトウェアの設定変更および流量やキャリヤーガスの調整後に分離が著しく低下した場合、推奨されるのは、①「Undo(元に戻す)」で直前のクロマトグラムに戻り、②EZGC method translatorを使用して、新たな条件に適した新しいオーブンプログラムを作成し、③これを基にした最適化を行う、という手順の実行です。このようにプログラムを新たに最適化することは可能です。ただし、この手順の実行が必要なケースは稀です。9割9分、「Refine(調整)」ボタンを使うだけで十分良好な分離は得られます。これは、キャリヤーガス流量や種類、カラムサイズを変更した場合であっても同様です。

Pro EZGC Chromatogram Modelerのさらに詳しい情報は、動画シリーズ第三弾でご紹介しています。第三弾では分離度要件について詳しく解説しています。MS分析に際して、考慮すべき点についても詳述しています。このソフトウェアは、詳細な点にまで言及したヘルプファイルも提供しています。ご不明点については、まずヘルプファイルをご参照ください。また、ぜひご一読いただきたいのは、EZGC Suiteブログです。ここでお知らせする最新情報には、新しいライブラリやショートカット、Pro EZGC Modelerの適用例などがあります。もしデータベースに目的の化合物が含まれていなければ、Restekの技術サービスへお気軽にご相談ください。分析開始時からさまざまなサポートをご提供いたします。ご視聴ありがとうございました。Restekが目指したのは、ラボでの作業をシンプルにして、ゴールに一直線に向かえる環境を提供することです。このソフトウェアは、それを実現できると思っています。ご質問等ございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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  • Restek Corporation

    Restek is a leading provider of chromatography columns, accessories, and certified reference materials. Trust Restek for reliable, high-quality analytical solutions.

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