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Pro EZGC Chromatogram Modelerの有効活用
RestekのPro EZGC Chromatogram Modeler(クロマトグラムシミュレーターとしても知られています)は、ポリマーキャピラリーカラム用に設計されています。操作がシンプルでありながら、高度なオプションも備えているため、GCメソッド開発の大きな助けとなります。
Pro EZGC Chromatogram Modeler 操作方法解説動画
- 【第1回】概要
- 【第2回】1. 化合物リストの入力方法
- 【第3回】2. インターフェース詳説
- 【第4回】3. モデル改良方法 Part 1(日本語準備中)
- 【第5回】4. モデル改良方法 Part 2(日本語準備中)
- 【第6回】5. 複数のライブラリ利用方法(日本語準備中)
- 【第7回】6. 全体的分離度要件(日本語準備中)
- 【第8回】7. 化合物ごとの分離度要件(日本語準備中)
- 【第9回】8. 昇温レートの追加(日本語準備中)
- 【第10回】9. 注入方法別の検討事項(日本語準備中)
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トランスクリプト
こんにちは!私はAmanda Rigdonです。Restekのアプリケーションケミストの一人です。Restekが新たに開発したPro EZGC Chromatogram Modelerについて、簡単にご紹介します。新しいソフトウェアとして提供するPro EZGC Chromatogram ModelerはRestekの誇りのひとつです。Pro EZGC Chromatogram Modelerとは何か、説明していきましょう。
一言で表すなら、革新的なGCメソッド開発ツール、となります。Pro EZGC Chromatogram Modelerを使えば、新しいメソッドの開発、既存メソッドの最適化、また既存メソッドへの分析対象成分の追加が、すべてコンピューターの前で即座に行えます。GC装置の設定、カラムや標準溶液の購入は一切必要ありません。具体的なメリットを見ていきましょう。時間とコストの削減になることはもうお分かりですね。Pro EZGCツールの素晴らしさは、この点に限ったことではありません。このツールの価値を理解するために、従来のGCメソッド開発のステップを確認しましょう。
どんなメソッド開発においても、まず着手すべきは化合物リストの作成です。化合物リストが完成したら、リスト内の化合物について基本的な調査を行います。例えば、沸点や溶解度、そして過去に行われた研究の有無などを確認します。調査の結果次第では、標準溶液やカラムの購入が必要になることもあります。購入しない場合でも、開発に使う標準溶液やカラムを選定しなければなりません。このような調査には時間がかかりますし、カラムや標準溶液に無料のものはありません。カラムや標準溶液を発注する必要がある場合、コストがかかる上に、それらが届く時間までかかります。
必要なものが届いたら、次はGC装置の設定です。検出器としてFIDを使用するならさほど時間がかかりませんが、質量分析計を使用する場合はとても時間がかかります。GCをセットアップした後、まずは初期条件での分離をいくつか試験的に行いますが、この工程にも時間がかかります。この初期分析が終了したら、データ分析を行い、その結果をもとに分離条件を改良します。以上がメソッド開発のステップですが、一巡目で完璧なメソッドは完成しません。ここまでのステップを何度も繰り返す必要があり、最終的に適切に機能するメソッドが完成する、というのがベストシナリオです。しかし、分離に適したカラムを選定していない、または使用しているカラムが最高使用温度に達しない、ということがあり得ます。このような場合、最初からやり直しとなります。メソッド開発者なら誰でも一度は経験したことのある、心が折れる瞬間でしょう。
Pro EZGC Chromatogram Modelerという強力なソフトウェアを使えば、メソッド開発初期の、時間を必要とするステップを全て排除できます。これこそがこのツールの素晴らしい点なのです。分離の最適化には通常、数時間〜数日かかりますが、リスクなしに、しかもカラムや標準溶液を購入することなく数分ですべてを完了できるのがPro EZGC Chromatogram Modelerです。
では、Pro EZGC Modelerはどのように機能するのでしょうか?Pro EZGCソフトウェアは、確立された溶解性理論に基づいて設計されています。Restekが独自に収集した、実測データに基づいたデータベースを用いて、各種計算を行います。このデータを活用することで、モデル化された化合物については、特定のカラム上で、どのようなオーブン条件でもその溶解性を予測することが可能です。一つだけ注意すべきは、モデル化の対象となるのはデータベースに登録された化合物だけ、という点です。だけ、とは言え、7,189個の化合物が54のライブラリに現在登録されています。ライブラリに登録されている成分は揮発性成分、半揮発性成分、農薬、溶媒、薬物と幅広いです。また、定期的に新しい化合物とライブラリを追加して、Pro EZGC Modelerを常に最新版にして、データベースを拡張しています。
デモで実際の動作を見ていきましょう!このデモは、Pro EZGC Modelerの実力をごく簡単に紹介するもので、【第2回】以降で基本的な使用方法を詳しく説明していきます。まず紹介しておきたいのが、Modelerのワークフローです。従来のGCメソッド開発とほぼ同じ流れになっていることがお分かりかと思います。まず、化合物リストを作成します。次に、モデルを生成します。モデルの生成は、実際の初期分析に相当する作業です。次に、モデルを調整していきます。これは、実際のラボではGCの前で行う最適化作業にあたりますが、このツールを使えば、モデルをすぐに調整・最適化することができます。そして、満足のいくモデルが完成したら、あとは必要なカラムや標準品を購入し、実際のシステムを用いて分析を行うだけとなります。
ここに表示されているのは、Pro EZGC Chromatogram Modelerのホーム画面です。このModelerはWebベースのプログラムなので、使用する際にはRestekのウェブサイトにログインする必要があります。既に説明済みですが、このワークフローにおける最初のステップは、化合物リストの作成です。まず、簡単に化合物名を入力します。メタノール、エタノール、イソプロパノール、などです。必要に応じて、化合物名を手入力しても、リストを貼り付けても構いません。Modelerがとても簡単に使える、と言えるのは、化合物リスト作成後に、「Solve(検索)」ボタンを押すだけで計算が実行されるからです。
次に画面上で表示されるのは、これらの化合物をこのカラム上で分析した場合に、できるだけ短時間で最も良い分離が得られるようにシミュレーションされたモデルです。今回は2種類の固定相でモデルが生成されたようです。それぞれの固定相への切り替えも簡単な操作で可能です。Rtx-1の方が良さそうですね。皆さんもお持ちだと思います。私のラボにも1本あります。ということで、Rtx-1を選んで見ていきましょう。Rtx-1で生成されたモデルを表示させます。全画面表示も可能です。ピークにカーソルを合わせれば各ピークの詳細も表示されます。このクロマトグラムを生成するモデルで使用された条件も表示されています。ターゲットの化合物をクリックすれば、追加情報がポップアップ表示されます。全画面表示を閉じればパラメータ入力画面が表示されます。
Pro EZGC Modelerの真価のひとつである、「Conditions(条件)」タブを見ていきましょう。Modelerを使えば、どんな条件でも即座に変更でき、それに応じてクロマトグラムも瞬時に更新されます。例えば「Efficiency(効率)」に切り替えることによって、カラムサイズと開始時の昇温条件に対する絶対最適線速度が自動的に計算されます。この計算結果は自動的に適用され、クロマトグラムが更新されます。その後、「Speed(分析時間)」に戻すこともできます。質量分析計を使用する場合は、出口圧力を真空にすることも可能です。キャリヤーガスもプルダウンから変更できます。カラムサイズの変更も簡単なので、ラボにあるさまざまなサイズのRtx-1に対応が可能です。
ここに表示されるカラムサイズは、Restekで実際に取り扱っているサイズです。ですので、この中のサイズで気に入ったモデルがあれば、そのカラムは実際にご購入いただけますのでご安心ください。また、何よりオーブンプログラムの自動最適化を実現したこと、これがPro EZGC Modelerがもたらした最大の功績です。ここにある「Refine Oven Program(オーブンプログラムの調整)」ボタンをグレーになるまで押してください。それによってオーブンプログラムは、多くのGC装置の最大昇温速度である30℃/min、または分離度要件に達するまで高速化されます。分離度要件については、【第7回】と【第8回】の動画で詳しく説明します。質量分析計を使用するアプリケーションでこの分離度要件は大きな意味を持ってきます。
さらに大幅に広範囲にカスタマイズしたい場合、「Custom(カスタム)」ボタンをクリックすれば、すべてのパラメータが調整可能です。カラム流量を変更したいなら数値を入力するだけです。モデルも更新されます。オーブンプログラムも変更できます。このように初期温度を低く設定するなら、GC装置の最大昇温レートを確認後、急激な昇温条件を設定することも可能です。このようにして、ほんの数分で、対象化合物同士の最小分離度が2.5以上、分析時間がわずか3分の分離条件を得ることができました。しかも、標準溶液を購入することも、GC装置を起動することも、データ解析を行うことも必要ありません。にもかかわらず、最終的なクロマトグラムがどのようなものになるかを非常に高い精度で予測することができるのです。
ご注意いただきたいのは、このModelerは理想的な注入条件を前提としているということだけです。たとえば、ヘッドスペース注入を使用する場合、注入条件によって最初の2つのピークが少し広がる可能性があります。そういう時は、このModelerのメリットを最大限に利用します。オーブンプログラムを変更して、ピーク間に余裕を持たせることも簡単に対応できます。念頭に置きたいのは、スプリットレス注入やヘッドスペース注入を使用する場合、最初のピークはモデルで予測したものより少し広くなるのが常だということです。これを忘れなければ、必要に応じてピーク間に余裕を持たせることに対応できます。最終版のモデルには、名前を付けて「OK」ボタンをクリックし、後で見返せるように保存しておきましょう。保存されたクロマトグラムはすべて「My EZGC」タブに保存されます。複数のクロマトグラムを切り替えて比較することが簡単な操作で可能なので、最適化プロセスにも役立ちます。これでデモは終了です。
ぜひ【第2回】以降もご覧ください。Pro EZGC Modelerの基本的な使い方をより詳しく解説します。【第2回】ではさまざまなやり方がある化合物リストの入力方法について説明します。【第3回】では、ここで簡単に触れたモデル表示領域と条件表示領域を含む、インターフェースについて詳しく説明します。
【第4回】と【第5回】ではモデル改良方法について詳しい説明をします。ご視聴ありがとうございました。この素晴らしいソフトウェアが皆様の大きな助けとなることを願っています。ご質問等ございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

