
この質問は毎年何回も聞かれます。昔Chrompack社で一緒に働いていた Dick Zwiep はこの質問に、 No 、 No-two!と冗談まじりに答えていました。
問題はN2Oではなく、NO と NO2です。NO と NO2 は反応しやすかったり平衡状態にあるため、定量は困難です。
N2O(亜酸化窒素)は”笑気ガス”とも呼ばれ、GCで分析するのはとても簡単です。 Rt Q-BONDのような多孔性ポリマータイプの固定相を用いて分析できます(図1. 参照)。 N2Oの溶出はかなり早いので、スプリット注入が適しています。このアプリケーションでは検出器にMSを使用しているため、内径 0.25mmの PLOT カラムを使用しています。 N2O の検出にはECDもよく使用されます。

図1. 亜酸化窒素のピークは Rt-Q-BONDの多孔性ポリマーから対称なピークとして溶出してきます。
NO(一酸化窒素)の測定はかなり困難です。酸素に触れると、 NOは赤褐色のNO2 (二酸化窒素)になります。
2 NO + O2 → 2 NO2
これがこの測定の課題の一つです。NOはO2と直ちに反応します。 O2が存在しない場合は、NOはほとんどのカラムから溶出してきますが、保持は極めて弱いものです。多孔性ポリマータイプの固定相でさえ、永久ガスと共溶出します。
NOはモレキュラーシーブタイプの吸着剤に保持され、測定することができますが、ピーク形状は通常対称ではなく、低濃度の測定は困難です。
NO/NO2 の反応速度論のモデルについては、下記をご参照ください:http://www.chem.tamu.edu/rgroup/hughbanks/courses/102H/lecturenotes/class12-1.pdf
NO2 (二酸化窒素) はGCで分析するのが最も困難です。 NO2 はN2O4(四酸化二窒素)と平衡状態で存在します:
2 NO2 <=> N2O4

図2. ビニルベンゼンベースの多孔質ポリマーのNO2との反応により定量は困難になります。
この分析にはいくつかのアプリケーションがあります。最もわかりやすいものは多孔質ポリマーを使用したものですが、二酸化窒素は多孔性ポリマーと反応してエチレンピークを形成します(図2.) 。これは入り口部分の熱で NO2をエチレンに変換することにより、間接的に NO2 を測定する方法かもしれませんが、変換は定量的ではないと考えられます。
NO2 分析に最適なカラムはシリカゲルになると推測できますが、データは限られています。
低濃度の検出にはMS、ECDおよびPDDを使用できます。TCDでも検出は可能ですが、ppmレベルの測定のみになります。
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