- 耐久性に優れた丈夫なステンレススチール構造により、製品寿命が改善
- より短い抽出時間でより効率の良いサンプルスループット
- 抽出効率が良く、より低濃度成分の抽出と分析が可能
- Smart technologyを搭載:Smart SPME Arrowは、独自のSmart Chip技術で、パラメータ、範囲および使用履歴を記録
- サンプリング法によってフォーマットを選択してください:
- ヘッドスペース法のみを使用する場合は、1.1 mmスリーブを選択
- 浸漬法を使用する場合は、1.5mmワイドスリーブを選択(ヘッドスペースにも対応可)
固相マイクロ抽出 (SPME) は、迅速で自動化された前処理技術です。サンプルハンドリングや抽出時間、溶媒消費量を削減することができるSPMEは、環境、食品及び臨床検査施設における一般的な選択肢の一つとなっています。しかし、従来のSPMEファイバーは、機械的な強度が弱く、液相量が少ないといった問題点もありました。
RestekのSMART PAL SPME Arrow システムは、高速抽出と微量レベルの抽出性能に加え、優れた堅牢性をも兼ね備えた画期的な製品です (Table I)。
従来のSPMEファイバーに比べてSPME Arrowは液相量が多く、より多くの化合物を短時間で抽出できるようになりました。さらに、ステンレススチール製、矢尻型の尖端、内部の安定なロッドおよび外側シース構造は、機械的なダメージとサンプル移送中の化合物のロスを最小限に抑え、液相を完全に保護します。
Table I: SMRT PAL SPME Arrowと従来のSPMEファイバーとの比較 (ヘッドスペース法)
| 従来のファイバー | 1.1 mm Arrow | 1.5 mm Arrow | Arrowのアドバンテージ | |
|---|---|---|---|---|
堅牢なステンレススチール構造
| No | Yes | Yes |
|
| 表面積 | 9.4 mm2 | 44 mm2 | 63 mm2 | サンプルスループットの向上—表面積が大きいため抽出時間の短縮が可能となり、サンプル処理能力が向上します。 |
| 液相(PDMS)量 | 0.6 μL | 3.8 μL | 12 μL | 液相量が多いため微量成分の抽出が可能となり、検出限界が下がります。 |
目標: より優れた耐久性
SPMEファイバーの主な欠点の一つは、その脆弱さです。いつも通り使用していても破損しやすく、修復できない場合もあります(Figure 1)。頑健なRestek PAL SPME Arrowの信頼性はお客様のラボに貢献します。独自のステンレス製のArrowは、曲げや破損に強い安定な内部ロッドと、液相のコーティングを保護し、物理的な損傷や分析種のロスを起こりにくくする外側シース構造をもっています。通常、SPME Arrowは何百回もの抽出を可能とし、従来のSPMEファイバーに比べて2~3倍長持ちします。さらに、特徴的な矢尻 (arrow) 型の尖端は、抵抗を小さくしてセプタムをきれいに穿孔し、セプタムの寿命を延ばします(Figure 2)。


アプリケーションに合わせたRestek PAL SPME Arrowの選択
Restek PAL Smart SPME Arrowは幅広い分析対象化合物とサンプルマトリックスに適しています。マニュアル注入だけではなく、PAL3オートサンプラでの使用も可能です。目的化合物の性質に基づいてアプリケーションに適したSPME Arrowをお選びください。 Restek PAL SPME Arrowを使用するにはGC 注入口のコンバージョンキットが必要です。
- 食品中の微量分析
- 薬物や医薬品
- 除草剤/農薬
- 医療診断
- ポリマーや固体試料中の微量不純物
- 原材料中の残留溶媒
- 水質分析(水中の有機物)
| 化合物* | 分子量† | 材質 | 厚さ (µm) | ニードル直径 (mm) | ハブの色 | Smart SPME Arrow 1本 (cat.#) | Smart SPME Arrow 3本パック (cat.#) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 揮発性化合物 | 60–275 | Polydimethylsiloxane (PDMS) | 100 | 1.1 | 赤 | 28906-1 | 28906-3 |
| 揮発性化合物 | 60–275 | Polydimethylsiloxane (PDMS) | 100 | 1.5 | 赤 | 28910-1 | 28910-3 |
| 揮発性成分 (高容量) | 60–275 | Polydimethylsiloxane (PDMS) | 250 | 1.5 | 黒 | 28911-1 | 28911-3 |
| 極性と半揮発性化合物 | 80–300 | Polyacrylate (PA) | 100 | 1.1 | 灰色 | 28902-1 | 28902-3 |
| 高揮発性化合物 | 30–225 | Carbon Wide Range/ Polydimethylsiloxane (Carbon-WR/PDMS) | 120 | 1.1 | 水色 | 28903-1 | 28903-3 |
| 高揮発性化合物 | 30–225 | Carbon Wide Range/ Polydimethylsiloxane (Carbon-WR/PDMS) | 120 | 1.5 | 水色 | 28907-1 | 28907-3 |
| 芳香族半揮発性成分 | 60–300 | Divinylbenzene/ Polydimethylsiloxane (DVB/PDMS) | 120 | 1.1 | 紫 | 28905-1 | 28905-3 |
| 芳香族半揮発性成分 | 60–300 | Divinylbenzene/ Polydimethylsiloxane (DVB/PDMS) | 120 | 1.5 | 紫 | 28909-1 | 28909-3 |
| 揮発性と半揮発性化合物 | 40–275 | Divinylbenzene/ Carbon Wide Range/ Polydimethylsiloxane (DVB/Carbon-WR/PDMS) | 120 | 1.1 | 暗灰色 | 28904-1 | 28904-3 |
| 揮発性と半揮発性成分 | 40–275 | Divinylbenzene/ Carbon Wide Range/ Polydimethylsiloxane (DVB/Carbon-WR/PDMS) | 120 | 1.5 | 暗灰色 | 28908-1 | 28908-3 |
| PAL Smart SPME Arrow Method Development Kit (内容:Smart SPME Arrow 各1:1.1 mm PA 100 μm, 1.1 mm カーボン-WR/PDMS 120 μm; 1.1 mm DVB/PDMS 120 μm; 1.1 mm PDMS 100 μm; 1.1 mm DVB/カーボン-WR/PDMS 120 μm) | 28901 (kit) | ____ | |||||
*最大GC注入口圧力は50 psi以下を推奨します。
すべてのRestek PAL SPME Arrowは、20 mmの液相をステンレス鋼上に結合しています。
†分子量範囲は目安です。使用時は、アプリケーションに応じた適合性検証を行ってください。
目標: サンプルスループットの向上
Restek PAL Smart SPME Arrow は液相量が多いため、従来のSPMEファイバーに比べて抽出時間の短縮ができます。Figure 3に示した例では、Arrowはわずか十数秒で従来のファイバーよりも多くの分析対象化合物を抽出することができています。抽出時間の大幅な短縮により、1日のサンプル処理数が増加し、ラボの効率と生産性が向上します。Table IIの例では、生産性が50%近く向上したことが示されています。

Table II: Restek PAL SPME Arrowを使用した場合の1日あたりに処理可能なサンプル数
| サンプル捕集と脱着に関わる工程の所要時間 (sec) | ||||||||
| サンプルバイアル選択 | バイアル加温/ファイバーコンディショニング | バイアル移動 | 抽出(ヘッドスペース) | GC平衡化 | 脱着 | バイアル返却 | 合計時間 | サンプル数/日 |
| Target Analytes: 従来型SPMEファイバー | ||||||||
| 22 | 120 | 20 | 120 | 15 | 10 | 15 | 322 | 268 |
| Target Analytes: SPME Arrow | ||||||||
| 22 | 120 | 20 | 15 | 15 | 10 | 15 | 217 | 398 (~50% increase 50%近く向上) |
Note: 10秒未満の工程は省略。1日当たりの実際のサンプル処理数は、GCサイクルタイムに依存します。
目標: 微量成分の捕集
新しい分析条件の開発や既存の条件を変更する場合、SPME Arrowをお勧めします。Restek PAL Smart SPME Arrowは液相量が多いため、従来のSPMEファイバーに比べ、捕集効率が良くなります。ヘッドスペースからの抽出時間と抽出サンプル量の組合せを3通りに変え、82種類の揮発性化合物を分析しました。いずれの場合でも、Arrowの結果は従来のファイバーに比べて高いレスポンスを示しました(Table III & Figure 4)。
Table III: SPME Arrowと従来型SPMEファイバーのレスポンス比較
| 従来型SPMEファイバーと比較した場合の平均レスポンス増加率 | |||
| 抽出時間 (min) | 抽出量 (mL Water) | 1.1 mm Arrow | 1.5 mm Arrow |
| 10 | 10 | 297% | 527% |
| 5 | 10 | 618% | 896% |
| 10 | 5 | 446% | 634% |
北米における大きなマーケットの一つであるカンナビス関連の分析においては残留溶媒の分析が必要とされています。3相 (DVB/Carbon WR/PDMS)の Arrowは残留溶媒分析においても大幅なレスポンスの向上が期待できます(Figure 5)。




