<シリーズ詳細>
第1回:制度改正の背景とPFOS・PFOAの発生源リスクを正しく理解する
第2回:PFOS・PFOAが与える健康・環境影響と水質基準の科学的根拠
第3回:PFAS分析に求められる技術基準と留意点
第4回:PFAS分析を支えるRestek製品と最新メソッドの導入事例
■ Restek ができること:PFOS・PFOA 分析対応ソリューション
PFOS・PFOAを50 ng/Lレベルという極めて低濃度で定量するには、サンプル前処理、分離精度、クロマトグラフィー性能、標準物質の選定など、全工程にわたる品質確保が必要です。
Restekでは、こうした要件に対応するため、PFAS分析に特化したサンプル前処理製品、カラム(分析/ディレイ)、標準物質を幅広くご提供しています。特に、米国EPA Method 533、EPA Method 537やEPA Method 1633に準拠したメソッド対応製品を多数取り揃え、日本の今後の制度要件にも整合性を持つ形で活用いただけます。
1. 高回収率・低ブランクの前処理カートリッジ:PFAS分析用 Resprep WAXポリマーSPEカートリッジ
水道水中のPFAS分析において、固相抽出(SPE)による濃縮と精製は最も重要な前処理工程です。以下の製品が最適です。
PFAS水道水分析 |Resprep WAXポリマーSPE カートリッジ, 30 µm, 6 mL/500 mg, 30 μm, 30-pk.(cat. # 28268)
| 特長 | 内容 |
|---|---|
| 水道水・飲料水中PFASの前処理に最適 | 高い回収率と再現性(RSD)を実現。超高純度ポリマー充填剤を使い、全ロットでPFAS汚染検査を実施し成績試験書(CoA)を添付して信頼性を保証 |
| 逆相+弱陰イオン交換のミックスモード | PFASの保持・洗浄・溶出を効率化。Restek独自のDelayカラムとの併用で装置由来のPFASバッググラウンドを低減し、分析のバックグラウンド対策を強化 |
| pH 0~14の広い安定性と高湿潤性 | 効率的な前処理と流量依存性の低さで多検体処理や自動化にも対応。ハイスループット装置運用への拡張可能 |

また、環境水・排水の分析には以下の製品を使用するのが最適です。
PFAS分析用 固相抽出 Resprep PFAS カートリッジ | フィルターエイド入り, 6 mL, Filter Aid 2000 mg/WAX 150 mg/GCB 50 mg, 30-pk.(cat. # 28931)
| 特長 | 内容 |
|---|---|
| PA 1633準拠の高純度WAX充填剤とCarboPrep Plus GCBのデュアルベッド構造 | PFASの広範囲な化合物を高回収率で効率的に捕捉 PFAS汚染検査済みで微量測定の信頼性を確保 |
| フィルターエイド採用 | サンプル中の粒子目詰まりを防止し、ガラスウール充填よりも短時間かつ安定した通水が可能 手作業のろ過を省き、前処理の作業効率と再現性を向上 |
| 真空マニホールドや自動化システムに対応可能な幅広い互換性 | 非飲料水、土壌、バイオソリッド、組織など複雑マトリックスのルーチン分析に最適な前処理ワークフローを提供 |
この記事「PFAS SPE サンプル前処理 Resprep積層固相カートリッジで効率的な抽出とクリーンアップを実現!」から、詳細な情報をご確認下さい!

2. PFAS分析に適したカラム4選
PFAS分析においてカラムに求められているのは、高感度な保持を実現しながらも、分析時間を短縮、スループットを向上させることです。また、近年では短鎖・中鎖・長鎖の混在に対応できるカラムの必要性が増してきています。Restekのカラムラインナップを以下の表にまとめました。各カラムに関連する記事も是非ご参照ください!
| 分析対象の短鎖長 | 分析カラム | ディレイカラム | 特長 | 内容 |
|---|---|---|---|---|
| C1~C14 超短鎖~長鎖 | Ultra Inert IBD (cat. # 9175312-T) | ①TFA測定しない: ディレイカラム/フルポーラスC18(cat.# 27854) ②TFA測定する: Ultra IBD(cat.# 9175362) | ● 独自の極性官能基を埋め込んだ構造 ● 強塩基にも優れたピーク分離 ● 幅広い範囲で安定した性能発揮 | ⇒ 極性化合物に対する高い保持力と選択性により、多様な酸性成分を高感度かつ効率的に分析 ⇒ 逆相およびHILIC条件下での極性およびイオン性化合物の保持も可能 ⇒ pH 2.5~8、最大80℃の状況下でも活性サイトを最小限に抑えた高密度結合、高耐久性を維持 |
| C1~C4 超短鎖~短鎖 | Raptor Polar X (cat. # 9311A52) | なし イソクラティック溶離 | ● 多様な極性成分を分離 ● 簡単なモード切り替え ● MS対応での高速/高感度な分析 | ⇒ HILICとイオン交換の2つの保持モードを単一リガンドに融合、酸性や塩基性、無極性を含む幅広い分析に対応 ⇒ 簡単にHILIC/イオン交換モードの切替えが可能。分析時間短縮や簡便な条件変更により作業効率が向上 ⇒ 2.7 μmコアシェル粒子採用で高速分離を実現。LC-MS/MSに対応し、高感度・高選択性分析に最適 |
| C4以上 短鎖~長鎖 | Force C18 (フルポーラスタイプ) | ディレイカラム/フルポーラスC18 (cat.# 27854) | ● pH 2~8の範囲で安定した逆相クロマトグラフィー ● 高い炭素含有量(20%)の固定相 ● 1.8~5 μmの高品質多孔性粒子 | ⇒ 多様なアプリケーションやマトリックスに対応し、優れたデータ品質を実現 ⇒ 強い疎水性保持力を発揮。疎水性相互作用を利用した分離に最適、汎用性の高いクロマトグラフィー分析が可能 ⇒ HPLCからUHPLCへの移行もスムーズで、MAX1,034 barの耐圧性能、長期の安定稼働、ロット間再現性を保証 |
| C6以上 PFOA, PFOS, PFHxSなど | Raptor C18 (コアシェルタイプ) | ディレイカラム/フルポーラスC18 (cat.# 27854) | ● 高速・高精度LC-MS/MS用カラム ● 5 µm SPP粒子を採用 ● pH 2~8で使用可能 | ⇒ 表面がステリック保護されたC18固定相で、強酸性モバイルフェーズにも耐え安定した保持特性を維持 ⇒ 従来のカラムより高速分析が可能。耐圧性能も高く、連続使用でも再現性を保つため生産性が向上 ⇒ 疎水性化合物を高感度かつシャープなピークで分離 |

参考記事:
「PFAS分析法の革新:超短鎖~長鎖PFASを一斉分析」(IBDカラム使用)
「Raptor Polar X:多様な極性成分を分離する新しいハイブリッドLCカラム」
「Raptor C18 SPP 5 µm カラム: PFASの迅速で高精度なLC-MS/MSによる分析に最適な選択肢」
「PFAS分析の新標準!Force C18カラムで実現するPFBA分離と高速直接注入法」
3. PFAS由来のコンタミ対策に不可欠なディレイカラム(Delay Column)
PFAS分析において、検出下限が ng/Lレベルと極めて低濃度であることから、分析系(LC-MS/MS)に由来するバックグラウンド汚染の影響が非常に顕著となります。特に、LCシステムのチューブ、バルブ、シール材、溶媒容器などから溶出するPFAS成分が、検出対象と同一の保持時間に流出することで、偽陽性または定量誤差の原因となるケースが少なくありません。このようなシステムブランク由来のコンタミネーションを識別・回避するために効果的な手段が、「ディレイカラム(Delay Column)」の導入です。こちらの記事「ディレイカラムを用いたシステム由来のPFASによる妨害除去」もご参照下さい。
【ディレイカラムの役割と導入効果】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 位置 | 分析カラムより前の、ポンプと試料注入位置との間に設置 |
| 機能 | LCシステム由来のPFAS(特に PFOA, PFOS など)を分析対象成分よりも後に溶出させることで、分析クロマトグラムから干渉を排除 |
| 効果 | 偽陽性・コンタミ由来ピークの共溶出が起こらないため、分析の信頼性および再現性の確保が可能 |
PFAS分析|ディレイカラム, 5 µm, 50 x 2.1 mm HPLCカラム(cat. # 27854)
| 特長 | 内容 |
|---|---|
| LCシステム由来コンタミを強力にトラップ | システム由来コンタミによる分析干渉を防ぐことで、超微量PFAS分析の信頼性を大幅に向上 |
| 最大15,000 psi(1,034 bar)対応のユニバーサル設計 | 全HPLC/UHPLCシステムおよびFPP、SPPタイプのあらゆる分析カラムに使用可能 |
| 固定相の種類を問わず使用可能 | 長時間の平衡化条件下でもブレイクスルーが起こらず、使いやすい接続設計で即座に取り付け可能 |

4. 高信頼性の PFAS 標準物質:Certified Reference Standards(CRMs)
PFOS・PFOAの正確な定量には、信頼性の高い標準物質および内部標準の使用が不可欠です。Restekでは、ISO 17034およびISO/IEC 17025に準拠した認証標準物質(CRM)を提供しています。以下の成分混合品を含め、多様な成分に対応した幅広い標準物質を取り揃えております。詳細は「Restek PFAS分析ソリューション(Advanced Analytical Solutions for PFAS Analysis)」からご確認下さい!
PFAS 水道水質基準|PFAS 3成分混合標準液|PFOS PFOA PFHxS | 認証標準物質, 10 µg/mL, 1mL/ampul(cat. # 30804)
PFAS(有機フッ素化合物)分析用標準試薬|PFAS 4成分混合|PFOS PFOA PFHxS PFNA| 認証標準物質, 10 µg/mL, 1mL/ampul(cat. # 30805)
| 特長 | 内容 |
|---|---|
| 混合標準/単品標準 | 単一成分または多成分混合品として供給 必要に応じて柔軟な選定が可能 |
| 高純度で均一な組成 | 分析精度を向上させるために厳密に管理 分析データの一貫性や標準化が促進され、信頼性の高い結果の取得が可能 |
| 長期保存・安定性検証済 | 濃度・純度・保存条件に関する品質保証書を付属 |
5. 技術支援・メソッド文献の提供
Restekでは、PFAS分析に関する実用的なアプリケーションノート、SOP、手順解説を日本語で提供しており、法対応準備の一環として有効です。PFASに関する情報は以下のページからアクセス可能です。他にもさまざまなニーズに細やかに対応した情報提供が可能です。お気軽にお問いあわせ下さい。
「PFAS分析のパートナー」
「PFASの国際規制ガイドラインと分析方法 完全ガイド」
「PFAS分析における規制と前処理法:最適なラボ用品の選定ガイド」
制度対応は「分析体制の信頼性」から
水道水中のPFAS管理は、単なるモニタリングを超え、供給者・分析者・規制当局の連携による科学的リスク管理の実践が求められるフェーズに入っています。Restekは、国際的な規制動向に対応しながら、高精度・高再現性のPFAS分析ソリューションを通じて、信頼ある水質管理体制の構築をご支援いたします。

