技術資料

PFOS・PFOA規制強化対策|今こそ備える!水道法改正対応 PFAS分析完全ガイド4

第4回:PFAS分析に求められる技術基準と留意点 (RESTEK JAPANオリジナルシリーズ 4)

05 Nov 2025

<シリーズ詳細>
第1回水道法改正の背景と概要
第2回:制度改正の背景とPFOS・PFOAの発生源リスクを正しく理解する
第3回:PFOS・PFOAが与える健康・環境影響と水質基準の科学的根拠
第4回:PFAS分析に求められる技術基準と留意点
第5回:PFAS分析を支えるRestek製品と最新メソッドの導入事例

■ 技術基準として求められる分析要件

PFAS分析は、制度対応上の要件を満たすだけでなく、誤検出・偽陰性を排除しうる分析精度と品質保証体制の構築が求められます。以下は、現行の国際的手法(例:EPA Method 533)や環境分析の実務上のベストプラクティスを踏まえた、必要な技術基準の要点です。

▸ 定量下限(LOQ)は10 ng/L以下が望ましい

  • 現行の水道水質基準値は PFOS・PFOA 合算で 50 ng/L に設定されているが、制度上はこの 1/5 にあたる 10 ng/L を閾値として検査頻度を決める方向性(なお、国際的な分析手法(例:EPA Method 533)では、各 PFAS 成分ごとに 2〜5 ng/L 程度の MRL が設定されている)
  • 環境省の技術基準として「LOQ=10 ng/L」との明記はないが、国内の制度背景と国際的ベストプラクティスを踏まえると、目的に応じて5〜10 ng/L 程度を目標とするのが現実的なライン

【参照資料】

     ◎水質基準に関する省令の一部改正及び水道法施行規則の一部改正等における 留意事項について
       第1水質基準に関する省令及び水道法施行規則の一部改正に係る留意事項 
       2.改正内容
       (2)水道法施行規則の一部を改正する省令
            (環水大管発第2506305号 令和7年6月30日 https://www.env.go.jp/content/000325801.pdf

     ◎PFOS及びPFOA 固相抽出―液体クロマトグラフ―質量分析法 質疑応答集 (Q&A)
       5.検量線の作成
       Q5-2)PFOS及びPFOAの定量下限は、どの程度の濃度まで確認する必要があるか。
            (生活衛生化学部 | 第3室 https://www.nihs.go.jp/dec/section3/qa/pfas.html

▸ 回収率・再現性の担保

  • 標準添加試験や同位体希釈法によって、70〜130%の回収率、±20%以内の再現性が国際的な許容範囲
  • 使用する固相抽出カートリッジ(SPE)、ろ過材、保存容器などもPFASフリーであることが必須

▸ 使用すべき分析手法の例

  • 前処理:WAX(弱陰イオン交換)SPEが一般的。市販の専用カートリッジ(例:Resprep WAX)使用
  • 分析装置:LC-MS/MS(トリプル四重極型)による高選択性検出
  • 分析メソッド:米国EPA Method 533(短鎖~長鎖PFAS対応)が、日本の水道基準にも整合性あり

▸ コンタミ対策・分析環境の管理

  • 装置構成(Delay Columnの使用など)によるPFASバックグラウンドの抑制
  • 容器・チューブ・ポンプ類すべてにおいて、PTFE、PVDFなどPFAS含有素材の不使用を徹底
  • 分析環境(試薬棚、前処理台など)の清浄度管理と定期的な空ブランク測定の実施

■ 分析対応に向けた実務上の留意点

項目内容
定量下限の確保基準値が極めて低濃度(50 ng/L)であるため、分析機器の性能だけでなく、前処理方法、濃縮効率、ロス削減などの工夫が不可欠
ブランク汚染対策PFAS は多くの分析機材・消耗品・サンプリング機材に含まれ得るため、非含有材の選定や徹底した洗浄・コンタミ対策が必須
標準物質の選定定量精度の確保には、安定同位体標識化合物(IS)、認証標準物質(CRM)の使用が強く推奨される
今後の規制拡大に備えた分析対象の拡充PFHxSやGenXなど、他のPFAS化合物への規制が将来的に拡大する可能性があるため、包括的なPFAS分析手法(例:EPA Method 533対応)の整備が望ましい
対策技術・コスト評価超過時の是正措置(除去技術導入・源調査等)の技術的、経済的インパクトを事前に評価しておく必要あり
国際的分析法との整合米国EPA、欧州ECHAなどが定めるPFAS分析手法との整合性を持ったメソッド(例:EPA 533)を導入することで、グローバル信頼性を確保可能

■ 分析上の問題点(コンタミネーション)への対応例 

EPA METHOD 537.1洗剤と水道水でガラス器具を洗い、水道水ですすぎ、その後試薬水ですすぐ。清潔なガラス器具は、逆さまにするか、蓋をして保管する。アルミホイルで覆わないようにする。PFASがアルミホイルからガラス器具に移行する可能性あり。
水質基準に関する省令の規定に基づき環境大臣が定める方法(平成15年厚生労働省告示 第261号) 別表第45試験操作中にPFOS、PFOA及びPFHxSが溶出し、標準液及び試料に混入する可能性があるため、事前に以下の処理を行い、使用する器具や装置が検査結果に影響を及ぼさないことを十分に確認することが必要。

6 空試験 精製水を一定量採り、以下上記4(1)及び(2)同様に操作して試験溶液中のPFOS及びPFOAの濃度を求め、検量線の濃度範囲の下限値を下回ることを確認する。
求められた濃度が当該濃度範囲の下限値以上の場合は、是正処置を講じた上で上記4⑴及び⑵と同様の操作を再び行い、求められた濃度が当該濃度範囲の下限値を下回るまで操作を繰り返す。
備考1 全ての操作において、標準液及び試料と触れる部分にポリテトラフルオロエチレンが使用されている容器を用いないこと。
固相抽出ー液体クロマトグラフー質量分析法 7.留意点(厚生労働省 PFOS・PFOA・PFHxS検査マニュアル)全ての操作において、標準液及び試料と触れる部分にポリテトラフルオロエチレンが使用されている容器を用いないこと。
水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の施行等について(通知)PFOS及びPFOAはフッ素樹脂加工された器具等から溶出する可能性があるため、これらの器具は可能な限り使用しない。また、使用する器具等はメタノールで充分洗浄し、対象物質のピークが出ないことを確認して使用する。

では、私たちRestekができることを最終回の第5回:PFAS分析を支えるRestek製品と最新メソッドの導入事例でご紹介したいと思います。

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JPSA2025-04